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2010-06-22(Tue)

五行風水記~クマとハルカ~夏休み

    
 七月第三週金曜日。今日は一学期の終了式の日だ。学校は八月の下旬半ばまでは休みになる。進学を考えている高校生なら、夏らしい遊びに余り物も考えずに耽ることの出来る最後の夏だろう。夏の暑い空気の中、教室は生徒達の束の間の解放感への期待でざわめいていた。なにせ三年生である来年はもちろん、人によってはその次の夏休みもあってないようなものになるからだ。
 もっとも先月半ばから、各地で高校柔道のインターハイ予選は始まっていて、来週には別の大会もある。梅雨入り後から2か月の間に高校柔道三大大会のうちの二つが行われるから、部員の練習にも熱が入るというものだ。インターハイの団体戦は惜しくも予選突破出来なかったが、来週行われるの大会の方はエントリーさえ出来れば、いきなり本大会に参加出来るものだ。良太郎自身はインターハイの個人戦に代表として出ることになっている。
 『護り人』としての活動はというと、『護り人』になることを決めたまでは良かったものの、インターハイ予選があったり、高校の期末テストがあったりで、良太郎自身はそれほど活動らしい活動はしていない。六月の末に悠が担当している(正確には火村と藤代らしいが。)学校に行って『魄気』の状態を調べるというので付いていってみたが、今までのようなことは起こらなかった。学校の建っているもともとの土地の性質もあるから、というが藤代の弁だった。

 「柔道のインターハイ決勝は、お盆前には終わるんだよな?」
 「そうだ。でも部の方が来週には別の団体戦があるから、どのみちしばらく練習漬けだなぁ。」
 高校が終了式で午前中で終わり、今日は帰っても誰もいないから、と言う悠に軽く食べていこうと良太郎は駅前のファーストフード店に誘った。
 「……八月のお盆過ぎたあたりなんだけど、何日か泊まりで出かけられるか?」
 「ああ、柔道部も去年はそのあたりは休みになったはずだから、大丈夫だと思うけど……。」
 紙のコップに出来た水滴に指先で触れていた悠が、伏せていた眼差しを良太郎へと向ける。
 「『護り人』の里に行こう。相性を調べて『御霊』と契約をするから。」
 一瞬、良太郎のハンバーガーを咀嚼していた良太郎の口の動きが止まり、悠に向かって頷いた後、再び動き出した。
 「『御霊』と契約してしまうと、本当に後戻りは出来ないからな。後悔しないように、行くまでによく考えてな。」
 悠の再三の言葉に、思わず良太郎の顔に苦笑が浮かんだ。
 「その『護り人』の里に行くとなると、結構予定いっぱいになるな……。課題やる暇あるのか。」
 独り言のような最後の呟きに、悠が反応する。
 「七月いっぱいは、僕もほとんど学校に行く。午前中は講習会に出るけど、午後からは図書室にいる。閉館までいるし、あそこはクーラーも効いている。課題を一緒にするつもりなら来ればいい。」
 一学期末のテストでも悠は相変わらずの成績の良さで、学年一桁の順位をキープしていた。それほど高順位ではない良太郎としては、ここは素直に好意に甘えた方が良さそうだ。
 「じゃあ、午後から行けそうなら行く。」
 ん、と了解の証に良太郎へ短い返事が悠から返ってきた。
 「あ~、でも、その『護り人』の里へはハルも行くんだろ?親がうるさいんじゃないのか?うちの親は柔道部の遠征で慣れてるけど。」
 「大丈夫だ。去年も藤代さんに勉強見てもらうって言って誤魔化したからな。うちの親、勉強や成績が絡むと途端に緩くなるんだ。」
 そういえば、『護り人』の活動で夜遅くなる時も、理由を藤代に勉強を教えてもらうことにしてあると言っていた。
 「ふうん。ハルの親って、教育熱心なんだな。」
 「……教育熱心っていうか、あれはなんていうか……。」
 良太郎の言葉に、珍しく悠の口調が歯切れの悪いものになる。
 悠は微妙な表情を少し笑って消してしまうと、粗方食べつくしてしまった様子の良太郎へ、自分のフライドポテトを勧める。
 「これ、食べてもらっていいか?僕ははなにか甘いモノ買ってくるけど、久間もまだ食べるか?」
 「ついでに、テリヤキバーガーをひとつ。」
 差し出されたポテトを受け取りながら、席を立つ悠にそう頼む。
 すぐにトレイにテリヤキバーガーとチョコレートサンデーを載せて戻ってきた。
 はい、とテリヤキバーガーの包みが良太郎に手渡され、代わりに良太郎は代金を渡す。
 「前から思ってはいたんだけど、ハルんちの親ってやっぱり厳しいのか?」
 なんとなく、さっきの悠の表情が気になって、ハンバーガーを半分程食べたところで良太郎はそう訊いてみた。
 「……厳しいって、例えば?」
 質問に質問で返して来るのは反則技じゃないのか、と思いながらも良太郎もまた質問で悠へと返す。
 「いや、ええと、いろいろ?」
 「……厳しいっていうか、干渉し過ぎで、気持ち悪い。」
 言いながら悠はカップに入ったチョコレートサンデーをスプーンでぐりぐりと掻き混ぜる。
 形の良い唇から出てきた言葉は悠にしては随分と辛辣で、聞いた良太郎が思わず苦笑いを浮かべた。
 「まず、僕が中学生の頃は夜寝ないからと言って、十時には僕の部屋のブレーカーが落とされた。今は三十分延びたけどな。」
 「ブレーカー……。」
 「僕、三つ下に弟がいるんだけれど、親が、」
 「うん。」
 「ちょっと成績落ちたくらいで、弟にオナニーのヤリ過ぎだって言うんだ。」
 顔に似合わない悠の言葉に、ちょうどハンバーガーを齧っていた良太郎は思わず吹き出しそうになる。
 「それは……。」
 今どきの中学生にちょっと成績が落ちたくらいで、そのセリフはないだろう、と良太郎は思った。
 環境や発育の具合によるが、最近は小学生でも意味を知ってやっている子がいるくらいだ。中学生なら保健の授業でテキスト上は習うことだし、平均的な発育をしている健全な男子ならやっていて当たり前の行為だ。ましてや早熟で彼女がいれば、すでにセックスも経験済みでも珍しくない。未経験の童貞なら、その頭の中は妄想膨らむファンタジーでいっぱいだ。それでもまだデリケートな年頃の少年には触れられたくない事柄だろう。
 「年頃の男ならしない方がおかしいだろうに。別に覚えたてのサルのように、ニ、三日でゴミ箱がティッシュの山になってる訳でもない。」
 感情にまかせて歯切れ良くポンポンと悠の口から出てくる言葉に、言っている当人よりなぜか聞いている良太郎の方の顔が赤くなってしまう。
 大人しそうで男性的な匂いの余りしない悠から、思春期の男の当然の行動が語られるのは、どうにも違和感や倒錯的な感じを受けてしまうのが否めない。
 「……で、他にもあるのか?」
 「あとは自分たちの趣味に、僕を巻き込む。」
 「趣味って?」
 「畑いじり。もう規模的に家庭菜園とかそういう道楽のレベルじゃない。父親は会社を経営していたけど、いまは他人に譲ってしまったから無職だ。もっともあと数か月すれば年金が出るし、今までの蓄えもある。母親は専業主婦だ。それなのに僕に家事を押し付ける。押し付けるくせに、勉強しろ、成績は落とすな、だ。弟の頭の出来はそれほど良い訳じゃないから、僕に良い大学に入って、良い会社に就職にして、そして最後は老後の面倒を見て欲しい。その思ってる癖にだ。」
 そう言い放ち、肩をすくめて見せる。
 「ん?年金もらえるって、オヤジさん、そんなトシなのか?」
 「……両親は年が二十離れているんだ。母さんが二十で、父さんが四十の時に結婚して、僕は父さんが五十の時の、弟は五十三の時の子だ。ついでにいえば腹違いの姉が二人いる。」
 一息に明かされた悠の家庭模様に、良太郎は唖然となってしまう。悠に比べれば、良太郎の家庭環境なんて普通で平凡過ぎる。 
 「あの人達は、僕のことを自分たちに取って、都合のいいモノとしてしか見ていない……。」
 最後に出て来た言葉とそこの乗せられた感情に、なんとなく良太郎は悠の顔を見詰めてしまった。
 目を伏せ、疲れたような顔を見せる悠が、しばらく経ってから良太郎の視線に気が付く。
 「ごめん。面白くないこと聞かせた。人に話さないようにしてたから、ちょっと溜まってたみたいだ。」
 気を取り直すかのように、明るい口調で悠は良太郎に謝ると、融けかけたチョコレートサンデーをまた食べ始めた。
 「……訊かない方が良かったな、悪い。」
 「良いって。久間とは『護り人』のこともあるから、これから長く付き合うことになるだろうし。家族構成くらいは知っておいてもらった方が良かった。」
 ちょっと極端なネタだったけどな、と苦笑しながら付け加える。
 悠のもっともらしい理由に、良太郎の顔に自然と少しだけ笑みが浮かぶ。これは少しは信用してもらえているということなのだろうか。
 そして、良太郎の一駅前で降りる悠が、乗降口のドアへと向かう少し前。
 「あんまり溜め込むなよ。いつでも聞いてやれるから。」
 空いてる車内で自分の横に立つ悠の耳元に、それだけを囁いてみる。
 あれは普段感情の起伏を余り見せない悠が見せてくれた顔なのだから。それなり応えた方がいいはずだ。
 そう思ってやった行動だったが、その意味は思っていた通りに悠に伝わったようだ。
 降りる寸前まではいつもと変わらぬ表情で、また月曜日、と言って降りて行った。
 しかしその後振り返った悠は、何とも言えないような照れた表情で、良太郎に手を振って見せてくれたのだから。


 良太郎がドアを開けると、廊下よりもさらに冷えた空気がシャツから剥き出しの肌に触れた。
 昨日よりも少し早く来てしまったが、どういう訳か図書室の中は昨日より座席が人で埋まっている率が高い。
 ざっと見渡すと、書架で本を眺めたり探している姿より、ブースやテーブルを占拠して、教科書や参考書を開いてる方が格段に多い。
 「あ、久間。」
 対応していた貸出業務が終わった悠が、カウンターの中から良太郎に手を振った。
 「……なんか昨日より人増えてないか?」
 「去年もそうだった。明日はもっと増える。五時の閉館までクーラー効いてるからな、ここだと。」
 図書委員は夏休みの貸出業務がある代わり、図書準備室を使っていいことになっていて、もちろんそこは空調が効いている。悠が図書委員であるおかげで、良太郎もそこを使わせてもらうことが出来た。
 「本来なら部外者は立ち入り禁止なんだけれど、そこはキミがインターハイに出場する有望な生徒であるとアピールした。」
 手持ちのカードは有効に使わないとな、というのが司書の先生に良太郎の準備室使用許可を取り付けた悠の弁だった。  
 悠のあとに付いて準備室に入ると、昨日と同様、置かれているテーブルの一角へと座った。
 「こんにちは、久間先輩。」
 「こんにちは~。」
 昨日もいたショートヘアの図書委員の女の子とは別にもう一人、目が大きめで派手な顔立ちをした子がいた。ふんわりと毛先をカールさせた髪といい、少しだけでもメイクしているところといい、並んで座っているショートヘアの子に比べると、随分と女の子然としている。
 軽く頷いて応えると、悠の隣で夏休みの課題を取り出して開いた。今日は数学だ。毎年教師陣の熱の入れ様が違うのか、数学だけはきっちりと製本されているし、問題の量が多い。
 「だから、ホントって言ったじゃない。」
 数学の問題を解いていると、そんなショートヘアの女の子の声が良太郎には聞こえてきた。
 少し響いた声にチラッと目線をやると、隣に座る女の子に何事かを囁いていたショートヘアの子が勘違いしたらしく慌てた風に、すみませんと謝ってくる。
 「あ~、いや、別にうるさくて怒った訳じゃないよ。それに俺はハルのおまけで使わせてもらえてるだけだから……。」
 「久間、仏頂面だからな。強面って訳ではないけど。」
 眼を課題にやったまま、笑いの滲んだ口調で悠がフォローしてるのかしてないのか、よくわからないことを言う。
 「三時過ぎたし、ちょっと休憩してこないか?」
 パイプ椅子の上で、疲れたのかだらしなく伸びたままの悠が良太郎にそう声を掛けてきた。
 「そうだな、購買……はやってないから、下の自販機まで行くか?」
 ん、と課題の冊子を閉じると、悠が席を立った。

 購買のあるホールまで降りてくると、自動販売機で飲み物を買う。良太郎は今日はカフェオレで、悠はやっぱりミルクティーだ。
 頭を使って疲れたのか、良太郎からも悠からも会話を振ることはなく、ホールのテーブルでぼんやりしていると、誰かの声が掛かった。
 「あれ~、クマにハルちゃんじゃん。」
 「お、こんなところで珍しい。」
 話しかけて来たのは、同じクラスの菊池と飯塚だった。
 「聞いてくれよ。せっかく俺様が勉強しに来てやったっていうのに、図書室一杯なんだぜ。」
 「だから、朝一から来ないと無理だって言ったじゃないか。」
 「そうだけど……。クマ達はなんでここにいるの?」
 「僕は図書委員だから。」
 「俺はハルと一緒に課題やってる。」
 良太郎の返答の内容を聞いて、菊池が怪訝な顔をする。
 「あれ?さっき図書室行っても二人とも見なかったけど?」
 「図書委員は準備室使えるんだよ。」
 「うわっ、なんだよそれ~、ずるいんじゃね~の?」
 「図書委員の特権ってやつだ。」
 「そこにクマも一緒にいたわけ?」
 菊池の問いに良太郎が頷くと、さらにずるいと騒いだ。
 「久間はインターハイ出るだろう?これから練習ばっかりになるから、その前に勉強一緒にしたいんですけどって、司書の先生にお願いしたんだ。」
 笑いながら悠がそう言うと、菊池が差別だ贔屓だと騒ぐ。
 「まぁ、学校もインターハイに出るような生徒には甘いってことだな。」
 「なんだよ、それ~。差別じゃん。」
 飯塚の言う通りの贔屓なのかどうかは分からないが、実際に準備室を使わせてもらっている良太郎としては苦笑いで受け流すしかない。
 「差別というか、まっ、区別ってやつだな。」
 「たいして変わんねーよ。」
 「明日か、明後日には視聴覚室が解放されると思うから。そろそろ図書室いっぱいだし。」
 「む~、じゃあ、明日また来るか~。」
 悠に分かったらメールくれよ、と言いながら菊池と飯塚はホールから出て行った。

 「あの、久間先輩、これ……。」
 良太郎と悠が準備室に戻ると、ショートカットの髪の女の子しか準備室には残っておらず、その子から何かが書かれたピンクのメモ用紙が差し出された。
 取り敢えず良太郎が受け取ってみると、そこには可愛らしい文字で、メールアドレスと「よかったらメールください」というメッセージが書かれていた。
 「これ、小林のメアドじゃないよね?もしかして今日一緒にいた子?」
 悠に小林と呼ばれた相手は、ニ、三度頷いて見せる。
 「すみません、断り切れなくて。自分で渡してって言ったんですけど……。」
 「あ~、あの子図書委員じゃないんだ。」
 「うん。小林に頼まれたから許可したんだけど、こういうことか。わざわざ学校の図書室まで来て勉強するタイプには見えなかったもんな。」
 「本当にすみません。昨日、久間先輩がここに来てたのを誰かから聞いたらしくて、わざわざ私に確認のメール送ってきて。」
 「もしかして、今日も強引に頼まれちゃったのか?」
 悠の言葉に、シュンと小さくなった小林が小さく頷いた。
  
 「久間って、結構人気あるんだ?」
 じわりとまとわり付く様な昼間の暑さが残った黄昏の空気の中、ゆっくりと駅に向かって歩いていると、悠が良太郎にそう訊いてきた。
 「さぁ、どうなんだろうな。」
 自分自身のことながら、良太郎としてもこればかりは首を捻るしかない。
 「そう言えば全然話に出てこないけど、付き合っている相手いないのか?」
 「今はいない。前はいたけど、二月に別れた。」
 「ふうん。じゃあ、新しく付き合うつもりはないのか?例えば、その、高倉さん?とか?」
 悠が言ったのはメモにあった名前だ。今日、小林と一緒にいた彼女は、高倉という一年生らしい。
 「まぁ、多分、そういう気持ちがあっちにはあるから、メアド寄越したんだろうけど……。」
 「だろうな。」
 良太郎はシャツの胸ポケットからピンク色のメモを取り出すと、もう一度それを眺めた。悠が興味深げにその様子を見ている。
 「そういえば、この前ちらっと聞いたけど、告白されたのを断ったんだって?」
 相手は、と言って悠の口から出てきたのは、確かに七月の始めくらいに呼び出された相手の名前だった。周りに人のいないところで断ったはずなのに、何処で誰が聞いていたのやら。 
 「あれは、好みじゃなかったというか、むちむちし過ぎというか。」
 「……確かに高校生にしては良いスタイルしてる人だけど。」
 悠の記憶では、確か運動部所属でレギュラーらしいということだけは覚えている。顔は健康的な美人といった感じだが、確かに肉付きの良い、むちむちした身体はしていそうだ。
 「だろ?」
 「でも、モテナイ男が聞いたら、もったいないって言いそうだな、それ。」
 「俺はもうちょっと色白で細くて華奢な感じの美人がいい。胸はあるに越したことはないがそんなになくてもいい。」
 良太郎の好みを聞いた悠が、この前一緒に見に行った映画のヒロイン役の女優の名前を上げた。
 「あ~、そうだな。あんな感じがいいな。」
 「……男にも告白されたことあるんだって?」
 「……誰が言ってた?」
 「菊池。で、どうなんだ?」
 同じ二年の男子の中に、ゲイやバイだと公言している男子が何人かいる。
 「なくも、ない。」
 「……モテモテだなぁ。」
 「全然羨ましそうには聞こえないんだが。」
 溜め息を吐いて良太郎がそう言うと、悠がおかしそうに声を立てて笑う。
 「彼女つくればいいんじゃないのか?」
 「それでも来るヤツは来る。誰とは言わないけど、『避妊なんて面倒なことしなくていいから、どう?』って誘ってきたゲイのヤツがいたぞ。」
 「いろんな意味で怖いな、それ。相手が病気持ってる可能性は考えないのか……。」
 「だよなぁ。」
 なんとなく二人の間に、飽きれたような空気が漂ってしまう。
 「先進国で、エイズっていうか、HIV感染者が増えてるのは日本くらいなんだけな。」
 悠がそう言うと、溜め息を一つ吐いた。
 「で、高倉さんはどうする?顔は可愛いかったし、胸は結構大きめ、スタイルも良かった。」
 「夏休みは忙しいからなぁ。インターハイ終わってからだな。『護り人』のこともあるし。」
 そうだな、と悠から返ってきた声はちょっと沈んでいた。
 「……ハル、お前、またなんか余計なこと考えてるだろう?どうせ『護り人』じゃなかったら彼女も出来たのに~とか。」
 ちらっと良太郎が見た悠の表情は図星だったようで、ありありとそれが浮かんでいた。
 「余計に考えすぎだって、お前。俺はもともと同時進行でいくつも出来る人間じゃないし。そんな顔するなって。」
 良太郎が軽く背中を叩きながらそう言うと、悠は少し戸惑ったような表情で良太郎のことを見上げていた。
    
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Author:水鳴沢
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