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2010-06-22(Tue)

五行風水記~クマとハルカ~里にて

    
 インターハイが終わった次の週、良太郎は悠と共に『護り人の里』へと向かった。
 帰省ラッシュも過ぎて盆も明けていたこともあり、交通機関での移動はさほど人波に迷うこともなかった。
 新幹線と電車に揺られること五時間。火村が迎えに来ると言っていた駅に昼過ぎに着いた。車内からホームに降りると、冷えた空気に馴染んだ身体に夏の暑さの籠った空気がまとわり付く。
 ネットで調べた限りでは、春には桜の名所として賑わうらしいが、その時期以外はさほど多くはないとあった通りに、観光客の姿もまばらにしか見当たらない。
「春だったら、桜が見られたんだけどな……。」
 列車の中で食べた駅弁の空箱を捨ててきた良太郎が、近くの山並みを眺める悠の元に戻ると、ポツリと呟くのが聞こえた。
 その表情は残念そうに見えて、どこか寂しげだ。
「前に来たことはないのか?『護り人』が『御霊』と契約するところなんだろう?」
「あるにはあるんだけど、桜の時期はないかな。それに僕は他の人とは違ったから」
 暑いから中で待ってようか、と言うと悠は先に立って駅舎の中の待合室へと入っていく。
「ここって温泉でも有名なんだけど、知ってたか?」
「みたいだな。ネットで少し調べた」
「里に居る間は火村さんのところにお世話になるんだけど、風呂が温泉なんだ」
「あぁ、それはいいな」
「まぁ、普通の旅行とは目的が違うけど、そういう楽しみはあるから」
 良太郎自身はそれ程気負っている自覚はなかったが、悠にはそう見えてなかったらしく、緊張を解そうと気を使ってくれたようだ。
 特殊な世界の入口に立っていることは間違いなく、これから起きるだろう未知の出来事に多少の高揚感めいたものを覚えているのは間違いなかった。
 柔道の大会で、まだ組み合ったことのない相手と試合をする時とはまた別の感覚だった。
「このあたり、仏閣や神社が多いから、そういうのが嫌いじゃなければ見るところは結構ある。時間があったら見に行こうか」
「そうだな」
 小首を傾げて聞く悠に頷き返すと、少し安心した様な笑顔を見せ、それにつられて良太郎の顔にも笑みが浮かんだ。
 ふと良太郎が顔を上げると、待合室のガラス戸越しにちょうどこちらを見ていた見慣れた顔と視線が合う。
「よっ」
「この前はありがとうございました」
 待合室に入ってきた火村に気が付いた悠が立ち上がると、ペコリと頭を下げた。
「お~、身体の調子はもう大丈夫か?」
「はい。おかげさまで」
 答えながら、ほんわりと悠が笑ってみせる。
「ならいいが、あんまり無理するんじゃないぞ」
「はい」
「久間、インターハイいいところまでいったじゃないか」
「あ~、ありがとうございます」
 良太郎のインターハイの結果はベスト8というものだった。最後に負けた相手は三年生で、一本が取れないうちに相手に技ありとなって負けてしまった。
「来年は優勝しろよ」
「そんな簡単に言わないでくださいよ」
「いやいや、お前なら出来るって」
 自身より少し高い所にある良太郎の肩を火村の手がバシバシと叩く。
「じゃ、行くか」
 そう言って歩き出した火村の後について、良太郎と悠も待合室を出た。

 火村の運転する黒のワゴンに揺られ、四十分ほどで『護り人の里』に着いた。
 『里』と言われているその場所は、良太郎達が降りた駅のある街の、大分外れの方に位置していた。三方を山々に囲まれ、大部分は田んぼや畑で、ところどころに家がある。隣の家まで何百メートルが冗談では済まないくらいには田舎だった。古い日本家屋がいまだ点在するあたりがそれなりの雰囲気を醸し出していた。
 山の方へと緩く勾配の付いた道を少し上ったところで、時代劇に出てくる武家屋敷のような佇まいの家屋がいくつか見えてきた。
 指でさし示された方を見ると、道から外れて小高くなったところにあるのが火村の家のようだ。
 家屋へと続く道の下にある、横に長い車庫にワゴンを入れると火村が降りるように促した。車庫の中にはCMに出てくるような農作業用のトラクターと赤い軽自動車が並んで停められていて、その他にもまだ二台は停められるスペースがある。
「今回は藤代さんは?」
 それまで話に出てきてなかったことに気が付いたのか、悠が火村に訊いた。
「あいつも実家に帰省してるから、来るのは明日の夕方になるな」
 屋根の付いた古めかしい門を通ったところで、そう答えが返ってきた。
「そういえば、あいつが来てるぞ、鎮守」
 そう言った声音は何か意味ありげで、そして愉快そうな色を含んでいる。
「……まさか、」
 火村の方に顔は向けたままで、ちらっと良太郎の方へ悠の視線が一瞬だけ向けられた。
「土師の阿呆が、来てる」
「まだ諦めてないんですか、あの人……」
 悠が深い溜息を吐いた。
「ああ、わざわざ俺の所にお前が来るかどうか確認してきたくらいだしな」
「性別の話以前に、僕はあの人みたいな騒がしい人はイヤなんですけど」
 良太郎には話がよく見えないが、悠の口調や反応からするとその人物は随分嫌われているようだ。人の好みは余り口に出したことのない悠がはっきりと言ってるくらいなのだから、余程なのだろう。
「ふうん。まあ、今回は久間がいるから妙なちょっかいは出してこないと思うが」
 門からは大人の肩幅くらいの延段が家屋の入口まで敷かれていた。外からは生垣で見えなかったが、手入れのされている広い庭があった。
 庭の中には小さな池があって、やはり紅白で模様の付いた高そうな鯉がゆったりとした動きで何匹も泳いでいる。
 その池の淵に立ってエサでもやっているらしい若い男がいた。長めの髪をソフトリーゼントにしていて、黒く日に焼けた顔をしている。白のハーフパンツにアロハシャツという姿が手入れされた和風の庭園と合っていない。
「ああ!ハルちゃ~ん!」
 石の延段を歩くことに気を取られていた悠が、その若い男が呼んだ自分の名前にあからさまに反応して、足を止めた。
「うわっ、なんかいるし、」
 声のした方を向き、茫然と呟く悠の声が聞こえた。
 手の中の鯉のエサの残りを池に放り投げると、アロハの男がすごい勢いでこちらへ走ってきた。
「ハルちゃ~ん!会いたかった~!」
 関西風のイントネーションでそう言うと、腕を広げてそのままの勢いで悠へと抱きつこうとする。
「ちょ、」
 悠は掛けていたショルダーバッグを手で掴むと、それで相手を押しやり、良太郎の背後へと逃げるように回り込んだ。
「抱きつくの、止めてもらえませんか、土師さん」
「久しぶりの再会なのに、それは淋しいわ」
 目の前に立つごつい身体の背後からひょこっと顔を覗かせた悠を見てから、『はぜ』と呼ばれたそのアロハの男は良太郎を見上げた。身長は火村より少し低いくらいだが、何かスポーツをやっているようながっしりとした身体付きをしている。
 土師は捕まえようとするも、悠自身が良太郎の身体を楯にして、伸びてくる腕を避けている。
「邪魔やな~。おまえ、ハルちゃんの番犬か?それっぽい顔しとるし」
 悠を背に庇うように何気なく動きを合わせていると、良太郎を見上げて睨み付けてきた。土師のあんまりなセリフに、横で火村が噴き出した。
「そう言われれば、久間の顔は犬とか狼に似てるな」
「あ~、確かに似てるかも。ほら、でかい割に細長い体の、毛足の長い犬って何ていいましたっけ?」
 後ろから首を伸ばした悠が、良太郎の顔をまじまじと見詰めた。
「前からどっかで見たことあると思ってたんだけど、キミ、昔うちの近所に居た犬に顔が似てるんだ」
 古い記憶を思い出しているのか、懐かしそうな表情をしている。それにしても犬はないだろう、と良太郎としては思わなくもない。
「顔は大人しそうだが柔道の黒帯持ちだ、そいつは。あんまり鎮守に付きまとうと投げられるぞ」
「なんや、ほんまに番犬なんか。まぁ、彼氏じゃないならええわ」
「前にも言った通りに、土師さんとお付き合いするつもりはありませんから。まだ火村さんや久間と付き合った方がマシです」
 そうきっぱりと言い切る悠の態度にも関わらず、ニヤニヤと土師は嬉しそうに笑っている。
「そのツンデレっぷりがたまらんわ~」
 男相手にツンデレはどうかと良太郎は思うが、そもそも顔立ちは綺麗めな造りをしていても悠は男だ。世の中がゲイに対して寛容になってきていると言っても、自分が告白?され、それで付き合えるかどうかは別の話だろう。
「お前、ここで油売ってていいのか?昨日誰かを駅まで迎えに行くとか言ってなかったか?」
「そろそろ行かんとまずいなぁ。ほな行くわ。ハルちゃんまたな~」
 構っているのも面倒になったらしい火村が促すと、騒がしい男はそう言って、門の向こうへ消えて行った。
「いちいち疲れる人だ……」
 また延段を歩き始めると、ゲンナリとした表情で悠が呟いた。
 ようやく家屋の玄関に辿り付き、中へと入る。
 ただいま~、と火村の張り上げた声に、火村の母親らしき女性がすぐに出てきた。見た感じでは良太郎の母親とたいして変わらない年齢に思える。
「おかえりなさい。ハルくん、ひさしぶりね。それと、久間くんだったかしら?」
「久間良太郎です。お世話になります」
 良太郎がそう挨拶すると、火村と似た面差しが柔らかく微笑んだ。

 『護り人の里』と言われるこのあたり一帯には、火村家のように古くから優れた能力を持つ術者を輩出してきた血筋がいくつかあった。
 そもそも『御霊』と契約し、その力を行使する者がこの地に住まうようになったのは、この地を『龍脈』の流れが通り、『御霊』との契約が容易に行うことが出来たからだ。
 古来より『龍脈』とは大地のエネルギーの流れのことを示していると言われる。この地に『御霊』と呼ばれる自然の力の顕現を行使する者が集まってきたのは当然の流れだったのかもしれない。
「で、この先の神社でその『御霊』と契約する為の儀式が行われるんだ」
 町から続く道路は赤い鳥居で終わり、良太郎が見上げた先には長い石段が途中で何回か曲がりながらも、小山の斜面を緩やかに上って行っている。どうやらその先に儀式の行われる神社があるようだ。
 火村家では良太郎たちは離れのひとつに案内され、里にいる間はそこを使うように言われた。悠が言っていた通り、離れには一度に四、五人が入ることの出来る大きな掛け流しの温泉があった。
 良太郎が悠と一緒に用意しておいた芋羊羹と流行りの洋菓子は火村母には随分と喜ばれていたから、滞在している間はあまり気兼ねする必要もなさそうだ。
 夕食までまだ時間があり、それまでの暇つぶしも兼ねて、儀式の行われるという神社を見に行くことになった。
 鬱蒼と茂る木々のせいなのか、夏だというのにひんやりとした空気の中、緩く傾斜の取られた石段をゆっくりと良太郎と悠は登って行く。
 普段の暮らしの中では滅多に嗅ぐことのない湿った土と落ち葉の匂いが鼻を衝いた。頭上で鳥の鳴く声が聞こえ、何気なく見た先にあった草の葉が風もないのに揺れている。良太郎が山を登って行くに連れて、気のせいなのか腹の底の方から何か得体の知れない感覚がじわりと湧いて来た。
 山の斜面を登る為に造られた急なカーブを曲がる間隔が徐々に短くなり、最後のそれの先には木々もなくなった。視界がひらけると高い空が見えた。
 登り切った先には拝殿への道が石畳で敷かれ、さらにその先には地元の町で見るような吹き抜けの社殿があった。お馴染みの賽銭箱や大きな鈴も見える。
 拝殿の吹き抜けの先には太い注連縄の掛かった石が見えた。高さ三メートル、幅は二メートルくらいの黒い石がこの神社の本殿、御神体のようだ。
 良太郎は手で何気なく拝殿にぶら下がる鈴の緒を掴んでみた。
「あ、ここで参拝しても御利益ないからな」
 ぎょっとするような言葉が悠の口から聞こえた。良太郎は思わず眼を見開いて悠を見てしまう。
「あの御神体はダミーだから。今日は行けないけど、この先に本来の本殿があって、そこで僕らは『御霊』の力を行使する契約を結ぶ。それが御利益みたいなものだから」
「じゃあ、あれは観光客用のダミーか?」
 良太郎がそう訊くと、悠がしたり顔で頷き返す。
「それよりどうだ?どこか身体におかしな感じがしたりは?」
 トントンと悠の手が良太郎の胸板を軽くノックでもするかのように叩いた。
 先程から腹の底からじわじわと湧いていた得体の知れない感覚ははっきりとそれと判るくらいになり、夏だというのに良太郎には自身の吐く息が熱を帯びている気さえする。
 良太郎は息の熱さを確かめるように手を口に当て、その手で腹を何度か撫でてみた。
「腹がおかしいか?」
 悠の指先がすりすりと良太郎の段の付いた腹筋をさする。
「わ、……久間の腹筋凄いな」
 確かめるように悠が曲げた指の関節で腹の割れた部分を擦った。指の動きに触られている腹筋よりも肩甲骨の辺りがむず痒くなる。
「こら、それはくすぐったいからやめれ」
 くすぐったさに笑いながら、良太郎はやんわりと悠の手を掴んで止めさせた。 
「……なんだろうな。腹の底から力が湧いてくるような……」
 鳥肌が立つように皮膚の表面が泡立つような、それでいて張り詰めた感じがする。
 良太郎の答えを聞いて、悠の顔に複雑な表情が浮かんだ。
「やっぱり『護り人』なんだな、久間は。多分それはこの先にある『龍穴』からの力に身体が反応してるんだと思う。僕も初めてここに来た時はそんな感じだったから」
「『龍穴』?」
「『龍脈』の力が噴き出してる場所っていうか、ええと、パワースポット?」
 上手く説明出来ている自信がないのか、悠の答えは疑問符が付いているように語尾が上がって聞こえた。
 不意にガタン、と拝殿の中で物音が立った。
 誰もいないと思っていた建物の中からの音に、思わず二人は顔を見合わせる。怪談めいた状況だが、そんなことはお構いなしに蝉の声が変わらず響いていた。
 さらにミシミシッと木の床を何者かが踏む音が聞こえてきた。
 そして、じっと拝殿の入口を見守る二人の前に中学生くらいの少年の姿が現れる。
「こんにちは」
 怪談的状況かと一瞬身構えた良太郎と悠に、その少年はしっかりと挨拶をしてきた。
「鎮守悠さんですよね?高校生ながら『木遁』の使い手としては当代随一という」
 白地にアッシュグリーンのチェックの入ったシャツとジーンズという簡素な服装と相まって、随分と大人びた雰囲気の少年が丁寧な口調でそう訊いてきた。
 チラリと良太郎の方を見てから、悠は少年に頷き返した。
「そうだけど、キミは?」
「土師燎といいます」
「……もしかして土師って、炯さんの?」
 良太郎は少年の顔をどこかで見た覚えのある顔だと思っていたが、それは悠も同じだったらしい。
「炯さんを知っているんですか?」
「アキラって、さっき遭ったあのやかましい奴か?」
 控え目な音量で悠には聞いたつもりだったが、良太郎の声が聞こえたらしい少年が小さく噴き出した。
「確かにうるさいですけどね、あの人」
 その時少年の声に被さる様にして、背後の方から人を探しているような声が聞こえてきた。
「噂をすればなんとやら、ですよ」
 聞き覚えのある声音に悠の顔にはっきりとゲンナリとした表情が浮かぶ。石段を駆け上がる音がすぐに大きくなった。
「おお!ハルちゃん!それにカガリも!」
 走り寄ってくる土師の姿を認めた悠が、何気ない動作で一歩だけ良太郎の方へと寄ってくる。
「カガリのところのお母ちゃんは相変わらずやな。俺が迎えに行く言うておいたのに」
「だからメールしたじゃないですか」
 先程遭遇した時に、迎えに行くと言っていたのはこのカガリのことだったようだ。
「またこうしてハルちゃんと会えたからええわ」
 そう言って土師はさりげなく手を取ろうとするも、余程そうされるのが嫌らしい悠は軽く身をかわすと、良太郎の背後へと半身を隠すように後退った。
「そのさりげなく触ろうとするのはやめてもらえませんか?」
「少しくらいエェやないか」
「嫌です」
「……随分と嫌われてますね。普段はこんなにはっきり言わないんですけれど」
 良太郎は着ているシャツの裾が悠に掴まれているのを感じながら、思わず土師にそう言う。
「オノレは好かれてまっせ~って余裕かい!?ボルゾイみたいな顔で俺のハルちゃんにベタベタするな!」
「……誰が誰のですって?術者が迂闊にそういうこと言ったらダメって知ってますよねぇ?」
「少しくらいエェやないか」
 悠のトーンダウンした声音に臆することなく、土師は猫撫で声でそう返してくる。
「『言霊』を扱う者は嘘を吐いてはならないって言われているでしょう」
「そうなのか?」
 良太郎が初めて聞く事柄に、肩口に顔を覗かせる悠に聞き返した。
「『言霊』で『御霊』の力を行使して現実世界に干渉する以上、術者は極力嘘を言わないようにする。強い力を持つ能力者の『言霊』は『術式』でなくても現実化する可能性があるから」
「それやったら、俺よりハルちゃんの方が分が悪いで。『木遁』の使い手としては当代随一やから」
「……土師さん、僕じゃなくて燎君を探しにきたんじゃないんですか?」
 絡まれるのが嫌な悠は、土師に当初の目的を思い出させようとする。
「あ~、まぁ、それはそうなんやけど」
 探しに来た癖に放っておいた相手の方へと顔を向けた土師はひとつ溜め息を吐く。
「叔母はんにちゃんと話したのか?」
 燎は土師の問いに首を横に振って答えた。
「やりたい事があるなら、ちゃんと言わんとあかんやろう」
「でも、母さんは俺のこと『護り人』にするつもりだし……」
「土師の血を引いとるからって、ならへんとあかん訳でもない。それにまだ中学生やで」
 話の流れから察するに、『護り人』になることに関して当人とその親との間で意見の喰い違いがあるらしい。
「……鎮守さんは中学生でもう『護り人』だったんだし、僕が出来ないことがないって、そればっかりで」
「どうしてそこで僕の名前が出てくるのかな……?」
「……母さんは術者の家系でもない鎮守さんが、使い手として当代随一と言われているのが面白くないんだと思います」
「何と言うか、無茶苦茶だな。歴史のある血筋ってそういうものかも知れないけど」
 聞かされた不条理極まりない理由に、悠の顔に苦笑いが浮かんでいる。
「燎君、やりたいことがあるなら、お母さんにちゃんと言った方がいいな。それに僕が『護り人』になったのは他に選択肢が見付からなかったからだから。他に選び様がなかったからなんだ。燎君が全力でやってみたいってことがあるなら、諦めないでちゃんと話した方がいい」
 そう言って燎に笑い掛けた悠の表情がどこか寂しげに見えたのは、良太郎の気のせいだったのかも知れなかった。
    
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プロフィール

水鳴沢

Author:水鳴沢
自分の書いてるものはオリジナルBL小説ライトノベル風味じゃないかと思います。

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