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2010-08-03(Tue)

五行風水記~クマとハルカ~煩悶

※途中で性的な描写があります。閲覧は自己責任でお願いします。長さはちょっぴり。ごめんなさい。


『僕らは男同士じゃないか……』
 良太郎へのそんな拒絶の言葉を聞いてから、すでに二週間が過ぎた。
「しばらく一緒にいない方がいいと思う」
 文化祭が終わった後、帰りの電車の中で悠にそう告げられた。
「久間が僕を好きだってことは、別に気持ちが悪いとは思わないけれど、受け入れるつもりはないから。それなのに一緒にいるのも期待させるようで悪いだろう?だからしばらく一緒にいない方がいいと思う」
 良太郎の眼を見て、はっきりとそう言い切った悠は、次の日から通学の為に乗る電車の時間をずらしてきた。
 学校でもそれとなく距離を置かれている。
 どうやら自分は振られたらしい、と良太郎が思うようになったのは、数日過ぎてからだった。
 もちろん諦められる訳はない。藤代のマンションの部屋で、
『少しだけ、甘えさせてもらっても、いいか?』
 そう言って縋り付いてきた悠の姿を、良太郎は忘れることが出来ない。
 あの時に感じた悠の身体の重みも温かさも、まだしっかりと身体が覚えている。
 きっと悠だって良太郎の身体の温もりや、抱き締めた腕の強さを覚えてるはずだ。覚えているに違いない。覚えていてもらわないと困る。
 ずっと独りだった悠が、ようやく他人に甘えるということを覚え始めたところだ。
 悠の心に良太郎がまだ付け入る隙があるとすれば、そのあたりしかない。たくさん優しくしてやれば、むしろ良太郎の手の中にあっさりと落ちてきそうな気がしていた。寂しい心に付け入れば、簡単に手に入るものだとどこかで高を括っていた。
 攻略方法が判っているのに、門前払いを食らった気分だ。取り付く島もない。
 告白前はどこかふわふわといつも高ぶっていた気分が、今はどん底地の底を這っている。
 二週続けて柔道部が参加する大会があったせいで、文化祭後は道場で遅くまで練習する毎日だった。三年生が受験に向けて引退してしまったから、すでに良太郎達二年生が主体になっている。
 練習している間も、遠征している時も、良太郎は悠のことを考えないことはなかった。どうすれば、また一緒にいることが出来るようになるか。
 そばに居て、優しくして、守ってやりたい。
 ただそうしてやりたいだけでも、今は無理だった。
 自分がこんなに他人に執着する人間だったとは思ってもいなかったせいなのか、どうすれば諦めることが出来るのか、すでに解らなくなっていた。ただ悠を好きで、好きで、好きで、思うことが止められない。
 相手が同性だというハードルは良太郎自身にとってハードルにすらならないらしく、恋を諦める原因としては全然役に立たない。
 一度、自分の腕の中にその素肌を抱き締めた感触を覚えていることも、諦め切れない原因になっていた。
 ベッドに寝転がりながら、悠のことを考えていると夏休みに里で互いに触れたことや、良太郎が体験した夢精のことを思い出してしまう。そうすると良太郎の股間の分身は間違いなく硬くなってしまって、結局そこに手が伸びる。
 夏休みのことや初めての夢精の記憶を反芻しながらするオナニーは、間違いなく自慰行為以外の何物でもなくて、それは悠を諦めきれなくて出口の見えない迷路を彷徨うような良太郎の心を慰めるには最適だった。
 考えても考えても、悠の心を手に入れる方法は思い付かず、そして最中のあの甘く切ない感覚を忘れられずにまた自慰に耽る。
 自分がかなりの深みにハマりつつあることを自覚しつつも、良太郎は考えることをやめることも自分の恋を諦めることも出来なかった。
 心が様々な悠をバラバラに求める。
 寂しげに笑う顔。温もりを求める身体。運命に翻弄された心。
 優しくしてやりたい。甘やかしてやりたい。守ってやりたい。
 悠のことを考えているだけで、良太郎は甘く切なく、幸せな気分に浸れる。
 そう思う一方で、自分の頭の中の妄想では、性欲の対象として悠を好き放題にしている。
 思うままに弄んで、泣かせて、喘がせるところを脳裏に描きながら、オナニーを繰り返した。
 さすがに一日の回数こそ自制したものの、そうすると今度は時間を掛けて行うようになってしまった。
 悠と話すことも少なくなった今、これじゃまるで本当に禁断症状じゃないかと良太郎自身が自分で思ってしまう程だった。
 
 良太郎の気持ちが悠に知られてしまったあの日から、良太郎の携帯に悠のメールが来ることはなくなった。
 それでも来ることがあるんじゃないかと、居間にいるときでも手元に置いておくようになった。
 今日もまた鳴らない携帯を手の届く所に置いたまま、良太郎はテレビで流れるドラマをただ眺めていた。
 どうすればまた悠の隣に居ることが出来るようになるのか、まだ答えは見付かっていない。
 こんなに好きなのに、こんなに好きだから、どうやって諦めればいいのか解らない。
 他人の存在を求める欲求は、良太郎がいままで経験したことのない『飢え』としか表しようのないもので、ただひたすら欲しくてたまらない。
 触れたい抱き締めたいと思いが強過ぎるのか、最近は指先に熱くちりちりとした痛みさえ感じてしまうようになっていた。


 悠に振られてから、三週目の金曜日。十月も三週目になって、大分涼しくなった。
 ここ数日は食欲も少し落ちてきている。それでも相変わらず、悠のことは考えてしまうし、考えてオナニーに耽ることは変わらない。
 ぼんやりとハンバーグを解体しながら、自分の未練たっぷり具合に、良太郎は盛大な溜め息を吐いた。
 母親がびっくりしたような顔をして、
「やだ、良ちゃん、どこか具合悪いの?溜め息なんてついて。最近ご飯もあんまり食べないし。世間は食欲の秋なのに」
 と訊いてきた。
 まさか恋の病です、とは親に言う訳にもいかず、仕方なく首を振って見せた。確かにどんぶり御飯が一杯だけになったような気はしていた。
 夕食が終わった後、ベッドの上で寝転びながら、悠のことを考えていた。
 今頃何をしているのかと思いながら、貰ったままの腕輪をなんとなく唇で食んでみたり、指先で回してみたり。
 そうしているうちにベッドからはみ出た手から、指先で弄んでいた腕輪がポトリと絨毯の上に落ちた。
 消化の為に血液が移動したせいと、部活の疲れもあって、良太郎は少し眠くなってくる。
 瞼を閉じて悠のことをいろいろ考えると、条件反射のようにボクサーパンツの中で良太郎の聞き分けのない分身が力を漲らせ始めた。
 部屋着のジャージの上から触れていると、あっという間に完全に怒張しきってしまう。
 良太郎はクッションにだらしなく上体をもたれさせると、ジャージをボクサーパンツごと足首まで下ろした。
 両膝を開いたまま、左手を根本に添えて肉茎を直立させると、右手でゆっくりと擦り始める。
 ここしばらくの間で回数も時間も増えているせいなのか、カリの縁から裏側にかけてが擦り過ぎて紅くなっていた。だからといって別に痛い訳でもなく、それどころか少し逞しくなったような気さえする。
 良太郎自身が呆れるくらいにやっているから当たり前なのかもしれない。
 亀頭の表面を輪にした指の腹でゆっくりと擦る。
 最初の二擦りくらいで、快感の通り道が開かれるかのように、ジーンとむず痒い感覚が腰椎のあたりから湧いてきた。
 鈴口の周りからカリの縁までの、まだ乾いたままの粘膜を、乾いた指の輪の中に何度もくぐらせるようにして摩り上げる。
 亀頭で生み出される少し強めのじんわりとする快感が、良太郎の頭の中をぼやけさせるように溶かし始めた。
 眼がじわりと潤み始め、とろんとなってきたのが自分でも解る。鼻の付け根も熱くなってきた。興奮してきたせいか、口から洩れる吐息も熱くなってきている。
 ゆっくりと自分の右手が動くの眺めながら、良太郎は頭の中で今回のオカズにする妄想を、記憶の中から選び出した。
 勿論、出てくるのは悠しかありえない。良心の呵責なんていう高尚なものは、高校生の脳内で好き勝手に暴走する性欲の前には存在しない。だから記憶から引っ張りだした段階で、悠は素っ裸だ。
 一番リアルに覚えているエロい記憶は、夏休みの里でのあのことで、あの時の触れた感触、触れられた感覚を思い出し、組み合わせ、好き勝手に捏造する。
 先走りが鈴口から滲み始めると、すぐにそれで指を濡らし、肉茎に塗り付けるように手を動かした。
 ヌルヌルとした刺激がまた別の快感を生み、それに呼ばれてさらにトクントクンと先走りが溢れてくる。
 もはや習慣として自慰のやり方は身体が覚え込んでいるようなもので、良太郎が頭の中で悠を好き勝手に弄ぶ妄想を、舌で舐め回すように味わっていても、手の方は快感を生み出す為に絶妙な加減をしながら感じる部分を擦り立てる。
 妄想のベッドの上で、悠の首筋を舐めて、その先にあった小さな乳首に舌を這わせる。
 ちゅっ、と吸い付き、舐めるという行為を繰り返すと、ぷくりと丸く可愛らしく膨らんでくる。
 ああっ、と喘ぐ声が同時に脳内で再生された。
 そうやって妄想の中で悠を喘がせていたところで、トントンと部屋のドアがノックされた。
 手の動きを止め、しばしその体勢のまま、じっとしている。
 良太郎の家族は返事があるまで互いの部屋のドアは開けないことになっている。朝も余程遅刻ギリギリにならない限り、起こしには来ない。
 またノックされ、仕方なくティッシュで先走りにまみれた手や性器を拭った。
 それからもぞもぞとジャージとパンツを引き上げ、勃起しているのが見えないようにクッションを抱えてから、返事をする。
「よ。お仕事中だったか?」
 部屋に入ってきたのは、兄の健太郎だった。すでに風呂に入ったらしく首にバスタオルを掛けて、濡れ髪にパジャマ姿だった。
「なんか用?」
 お仕事中というのは、オナニー中だったかということを暗に言っている、兄独自のからかい半分の言い方だ。実際良太郎はやっていたことになるが、わざわざ頷くようなことでもない。
「母さんが心配してたぞ。『最近食欲ないみたいだし。ご飯中に溜め息つくし』って」
 そう柔らかく笑いながら健太郎は、ベッドに座ったままの良太郎の隣に腰を下ろした。
「なんか悩みでもあるのか?」
 直球で聞いてくる兄の様子に、思わず苦笑が漏れた。
 自分の下半身のことまで相談して、コンドームを分けてもらうような仲でも、同性に恋をして諦めることが出来ないとはやっぱり言えない。同性がどうということではなくて、自分の情けなさっぷりが酷過ぎて話す気になれない。
「まぁ、いろいろ、かな」
 そう言って軽く笑って見せると手を伸ばして、絨毯の上に落ちたままだった腕輪を拾った。兄の視線がしばらく良太郎の横顔に注がれるのが判った。
「お前、好きな相手、出来たんだろう」
 ズバリそのものが言い当てられて、ピクッと良太郎の身体が震えた。聞かれても流せるように構えていたはずなのに、出来なかった。
「……俺ってそんなに解りやすい?」
 思わずそう聞き返す。ひとつふたつの年の差ならライバル心も湧くのかもしれないが、六つも違うとそんな気は起きてこない。
「お、当たりか」
「……カマ掛けたのかよ」
 良太郎が不愉快そうに兄を睨むと、フフンと鼻で笑われた。
「まぁ、顔見れば解るよ。お前、夏休み終わったくらいから、時々男の顔するようになってきたからな。」
「俺、だた漏れかよ……」
 溜め息を吐くと、良太郎はズルズルとベッドを降りて、絨毯の上に座り込んだ。沈んだ気持ちもあって、勃起していたモノがようやく収まってきた。
「で、どうなんだ?」
「……どうせ言わなくても解ってるくせに」
 良太郎を生まれた時から見てきた相手に隠し事は無理な話だった。
「うまくいってないと見た」
「……それどころか振られた」
「じゃあ、まだ童貞のまんまか」
「いいんだよ、それは。……それにそっちで振られた訳じゃないし」
 そんなやり取りをベッドの上と下でした後、良太郎はまた溜め息を吐いた。
「……おいおい重症だな」
 兄にもそう見えたらしく、慰めるようにポンポンと良太郎の頭を軽く叩いてきた。
「なんか頭の中がぐちゃぐちゃし過ぎて、わかんねー……」
「ほほう。どれ、どんな感じかおにーさんに言ってみなさい」
「そんな簡単に言えることなら苦労しない」
「いいから、言え」
 兄は伸ばした手で良太郎の首裏を掴むと、ぐりぐりと荒っぽく揉んできた。
「……そばにいたい。抱き締めたい。優しくしてやりたい。守ってやりたい。喜ぶ顔がみたい」
「うんうん」
「ぶっちゃけ、エロいこともしたい」
「うん……それが男の『好き』ってやつだからな。どれが、じゃなくて全部が混ざってて当たり前だ。普通じゃないか」
 からかわれるかと思えば、笑ったような気配の後に、良太郎はそう言われた。
「……そっか。でも俺振られたのに……好き過ぎて、どうやって諦めたらいいのか、解らないんだよ……」
「……それはどうにもならないなぁ。時間が忘れさせてくれるか、それとも後生大事にいつまでも思い続けるか。」
 また慰めるように良太郎の頭がポンポンと叩かれた。
「……しかし良太郎もまだ子供だと思ってたら、そういうオトナの恋をするようになっちゃったか……」
「オトナの恋?」
 どこか寂しげな声に良太郎は思わず顔を上げて、兄を見上げた。
「ああ。そんなに好きになったんなら、もし次にそういう相手が出来て、付き合うことが出来たら大事にしようと思えるだろう?」
 それはそうだろう。こんなに辛い思いを味わうことになるなら、相手が自分の想いを受け入れてくれるようであれば、大事にするに決まっている。
 でも今はまだ、次があることを考えること自体が酷く辛く感じてしまう。
「辛い恋なんだろうけど、お前、良い恋したんだよ。きっとそのうちそう思える」
 黙ったまま見上げる良太郎に、兄がそう言って口元に笑みを浮かべると、ひとつ頷いた。
「……さて人生相談も終わったところで、おにーさんはコンビニまでお使いを頼みたいんだが」
 パジャマの胸ポケットから畳んだ千円札を指に挟んで取り出すと、ピッと良太郎に向かって見せた。
「アイスのクッキーサンド三つ。釣りは好きに使っていいから」
 渡された札の感触から、必要な額より余計に渡されているのが判る。最初からそのつもりで話をしに来たらしい。
「仕方ないな。行ってきてやるよ」
 良太郎はクッションを放り出し、手に持ったままだった腕輪をローテーブルに載せると、代わりに財布と携帯を取って、立ち上がった。
 兄の手から出されたままだった札を受け取ると、パーカーを羽織りながら部屋の外へと出た。
「良太郎、アレは止めちゃったのか?」
 階段を降りながら、不意に兄がそう聞いてきた。何かと思って顔を見れば、何かを持つように手を構えて見せてくる。
「棒術?」
「そうそう」
 たまたま柔道部の練習が忙しかったり遠征があったりで、そういえば家での素振りもしばらくしていなかった。それで止めたのかと勘違いされたらしい。
「いや。なんで?」
「一家にひとりはああいうのを使えるのがいると、心強いというか、番犬代わりになるなーと……」
「ひでぇ、番犬って。せめて用心棒とか言えよ」
「ああ、悪い悪い。でも母さんも『最近は物騒だからうちにガードマンがいると思うと安心するわねー』って言ってたし……」
「ガードマンって……」
 悠を守る為の手段を増やすつもり頑張っていた棒術も、振られてしまってからはやる気が半減していたのも事実だが、家族がそんな風に思っていたとは思わなかった。何となく嬉しく感じてしまう。
 玄関で靴を履くと、重たいドアを開く。良太郎が知る限りでは、兄が頼んできたお気に入りのクッキーサンドは、確か公園を越えた先のコンビニにしか売っていないはずだ。
「気を付けて行って来いよ」
「ん」
 兄に向って軽く頷くと、良太郎は夜のコンビニへと向かった。
 
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テーマ : 自作BL連載小説
ジャンル : 小説・文学

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自分の書いてるものはオリジナルBL小説ライトノベル風味じゃないかと思います。

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